CTAFTSMAN.24

微生物による土壌改良で
健康につながる人参づくりを追求

温根湯地域の人参農家

原谷 義成さん

私たちは明治時代に山形からこの地に移り、現在は5代目として53ヘクタールの畑で人参をメインに栽培しています。最初は酪農と肉牛を中心にやっていましたが、この地域は標高が高く寒さも厳しい気候で、試行錯誤が続いていました。私に経営が代替わりしたのは2015年からです。子供の頃は農家の仕事にあまり魅力を感じませんでした。農業機械も今ほど充実しておらず、親が朝早くから夜遅くまで働く姿を見ていましたし、農業は大変、良いイメージではありませんでした。しかし、高校を卒業する頃には家業を継がなければならないという責任感が芽生え、農業に興味を持つようになりました。親から強要されることはなかったものの、この道を選ぶことを待っていたかもしれません。

私たちの畑で特に力を入れているのが土壌管理です。化学肥料に頼らず、微生物を活用した土作りを行っており、この方法で約5〜6年かけて土壌の質を改善しました。中々結果の見えにくい微生物による土壌改良でしたが、あるときガンを患っている方が私たちの人参を食べて、体調が良くなったという話を聞いたことがあり、微生物による土壌づくりの有効性をより実感しました。そこからさらに土づくりの研究と改良を重ね、抗酸化作用が高いと言われる、体に良い、腐りにくい特性を持つ人参を育てることができるようになりました。

人参の栽培は他の作物に比べて、価格変動や天候の影響を大きく受け、続けていくことは楽ではありません。過去には大雨で大きな損害を受けたこともありました。また、腐敗によるクレームや市場の需要供給のバランスに悩まされることもあります。それでも続けていけるのは、私たちの人参を評価してくれる全国のファンの皆さんがいてくれるからです。食べてくれる人の期待があるからこそ、美味しくて健康的な人参を作り続けることができます。今後もこの地で農業を続け、より多くの人に私たちの人参を届けていきたいと考えています。