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共同の考えを大事にして
この地域の稲作を守っていく

北見市豊田地区の稲作法人

村上 健太郎さん

私たちは、北見市相内地域の稲作を、一手に引き受ける農業法人を運営しています。
私たちの法人は令和3年に立ち上がり、去年(令和5年現在)から本格的に始動しました。相内地域では、地域の農家さんが立ち上げたトラクター利用組合を通じて、稲作を合理的に進めてきたのですが、一人当たりの耕作面積が増えていく中、組合で引き受ける水田の規模も拡大していきました。この状況から、水田の作業を専門に扱う団体の必要性が高まり、協同組合に近い形で法人化がされたんです。

法人として運営する利点、理由はいくつかあります。会社組織にすることで、後継者を見つけやすく、地域に根ざした持続可能な農業が進められること。また、社員として農業に携わる人達には、適切な労働環境と福利厚生を提供することが可能になりますし、柔軟に人材を受け入れることができるようにもなりました。私の両親も農家ではなく、前職は農業土木の仕事です。そんな私が、農業、特にオホーツクでもメインではない稲作に携わることになるとは、自分でも想像していませんでした。
始めは2人でのスタートでしたが、今では4人のチームで運営しています。もともとトラクター組合という前身があったので、農家さんが持つ水田を借りて、使われていない農業機械も活用させていただき、スムーズに運営を立ち上げることができています。現在は土地や機械を借りていますが、徐々にこれらを引き継ぎ、自立していきたいと考えています。

現在、私たちは主に「きたゆきもち」という品種のもち米を栽培していて、稲作の分野ではオホーツク地域でも特に大規模な法人となっています。ただ、この地域で稲作はメインの作物ではないため区画整理なども補助を受けにくいなど、難しい状況にあります。それでも、米は国によって守られているので、安定した作物としての魅力がありますね。
また、私たちの働き方にも、法人化のメリットがあって、シフト管理によって休日を確保できるので、働き手にとっても魅力的な職場環境を用意できます。また、地域との関わりを大切にして、水田から水を抜いている時期は時間を柔軟に使えるため、地域の農家さんのお手伝いに行ったり、逆に私たちが忙しい苗植えの時期に他の農家さんの手を借りたりと、お互いに手を貸し合う文化を維持しています。

現在は私一人が役員として常勤で、他のメンバーは季節雇用という形で参加していますが、将来的には年間を通じて働ける体制を整えて、地域の農業をより強固なものにしていきたいです。稲作に加え、リスク分散のために他の作物への挑戦も視野に入れていて、畑作物の栽培も検討しています。本来の役割であるこの地域での安定した稲作の維持を大切にしながら、長期的な視点で地域の農業の持続可能性を高めていくことが、私たちの使命だと感じています。