CTAFTSMAN.18

農家でありながら異業種の視点
それが地域の農業につながる

北見市小泉の玉ねぎ農家

石原 正啓さん

私たちの家は屯田兵の時代から続く農家で、私で6代目、100年以上の歴史を持っています。現在、35ヘクタールの農地で玉ねぎをメインにビート、小麦も栽培しています。
北見に生まれて大学も北見市内で、大学卒業後の18年前から本格的に農業に携わり始めました。小さい頃から農作業は身近なもので、手伝いは当たり前のことでした。北見市内の大学に通いながらも、農家に近い生活をしてきました。

北見で育ち、大学を卒業してすぐ農家になっているので、視点や経験が偏ってしまわないよう、農協の青年部の理事などを務める中、異業種との交流にも積極的に取り組んできました。もともと農協青年部には仲間作りと情報収集のために入りました。何がうまくいって何がダメだったのか、みんなで酒を飲みながら情報交換するのはとても有意義なんです。仲間とは助け合いの関係を築いて、青年部活動を通して農業の周知活動にも力を入れています。
地域の農業を発信して学びの機会を増やすために、積極的に異業種間の交流をしてきました。様々なフォーラムに参加して、たくさん名刺を配ったり。農家としてだけでなく、ビジネスの観点からも多くの刺激を受けますし、知り合いも増えて、色んな話を聞くことができます。異業種の方々からは、農業に対する異なる視点や新しいアプローチ、貴重なアドバイスをいただくこともあります。

JAきたみらいは基盤がしっかりしていて、私たち玉ねぎ生産者は生産量もプライドも日本一を誇っています。日々、栽培方法や技術の向上、イノベーションについて意識し学んでいます。青年部の繋がりだけでなく、振興会では世代を超えて様々な技術を学ぶ事ができますし、日本一の産地で、日本一の品質をこれからも追求していきます。
しかし、これだけ基盤のしっかりした農業地域でも、これから農家の数が減少していく中で農地を守り、作付け面積の増加に伴う負担をどう管理していくかは大きな課題です。農家だけでなく、畑作に興味を持つ人々とも繋がり、地域全体で協力して生産を維持していくことが重要だと感じています。機械化も進んでいますが、最終的には人の手が必要不可欠です。人手不足は大きな問題で、地域の方々の支援を受けながら農業を続けています。

そのためにも、農業者だけでなく異業種の方や地域の大学生ともコミュニケーションをとって関係を増やすことや、農家の常識にとらわれずに他の業種の方々の考え方を積極的に学んでいく事が重要で、こうした農家の垣根を越えた交流や発信が、結果的に北見での農業を守り、発展させていくことにつながると考えています。長い歴史を持つ家業を引き継ぎ、新たな挑戦をしながら、地域に根ざした農業をこれからも続けていきたいです。