EDUCATION.04
北海道の大地が育んだ、
地域をつなぐ一粒のおかき
北海道ピーナッツおかき
誕生の物語
廣中 諭さん
オホーツクのJAきたみらい青年部が、十勝・芽室のピーナッツ生産者「メムロピーナッツ」とコラボレーションして生み出した「北海道ピーナッツおかき」。オホーツクともち米、十勝とピーナッツ――地域の垣根を越えたこの商品には、若い農業者たちの熱い思いと、北海道農業の未来への願いが込められています。
企画を中心的に担ったJAきたみらい青年部の担当者から、商品誕生の背景から込められたメッセージまで、詳しく伝えます。
YouTubeから始まった、地域を越えた出会い
きっかけは、メムロピーナッツさんのYouTubeチャンネルでした。バラエティ感の強い農業系ユーチューバーとして北海道の農業関係者の間でも注目されていた方々で、JAきたみらいの青年部の中でも視聴者がたくさんいました。そこで、JAきたみらい青年部の東支部が「ぜひ学習会に呼んで、開発秘話を聞いてみよう」ということになりました。
メムロピーナッツさん自体も、もともとJAめむろの青年部がハウス内での栽培実験から始めて、10年以上の試行錯誤を経て北海道ならではの露地栽培の方法を確立し、2023年頃についに正式な生産組織として認められたという、青年部発の取り組みなんです。私たちとしても、「青年部の活動から新しい作物づくりを成功させた」という姿に学ぶことがとても多く、視察にもお邪魔するなど、交流が深まっていきました。
そんな中、「きたみらいでもち米をつくっているんですよ」という話をしたところ、「お米のイメージがなかった、面白いですね」と。その後、メムロピーナッツさんのインスタグラムに「もち米をつくっているなら、ピーナッツと一緒においしいおかきなんてどうですか」という投稿があって。半分ご挨拶のような感じだったかもしれないんですが、私たちが「これは本当にやれるんじゃないか」と真に受けまして、青年部内で企画を動かし始めました。
農業の世界でいうと、オホーツクと十勝は大生産地で切磋琢磨する、良きライバル産地です。20〜30代の若手中心の青年部だからこそ、前向きな勢いでその壁を飛び越えられたんだと思っています。地域のエリアの垣根を取っ払って、良い作物を育てよう、美味し食べ物を届けようという同じ思いで一つの商品を開発できたこと、それ自体がこの取り組みの大きな意義だと感じています。
また、もち米はきたみらいにとって歴史ある作物でもあります。玉ねぎが主力となる以前から、この地域の農業のアイデンティティを支えてきた存在。一方で芽室のピーナッツは、青年部が挑戦を重ねて生まれたばかりの新しい作物です。言わば、「レガシーな作物と、生まれたての挑戦的な作物のコラボ」という側面もあるんですよね。北海道農業の歴史と未来が一つのおかきの中に詰まっている、そんな商品になったのかもしれません。
「食べておいしい」を一番大切に、素材の味を追求する
商品開発での「おいしさ」へのこだわり
企画が動き出してからの私たちの主な仕事は、「とにかく食べて、意見を出し合うこと」でした。まず大きな選択肢として、「焼き」か「揚げ」か、「塩味」か「醤油ベース」かという4つの組み合わせを試作していただき、全パターンを食べ比べました。
焼きは賞味期限が揚げに比べて長くとれるなど機能的なメリットもあったんですが、揚げたものの食べた瞬間のおいしさにはかなわないということで、揚げに決まりました。やはり食べ物ですから、最後は「おいしい」が決め手になりますよね。
さらに細かいところでは、おかきのサイズ感、ピーナッツの配合割合、ピーナッツの粒の大きさも繰り返し調整しました。ピーナッツが大きすぎるとおかきから脱落してしまい、小さすぎると風味が薄まってしまう。ちょうどよい塩加減の中に、もち米の風味とピーナッツの旨みをしっかり感じてもらえる味に仕上げることができたと思っています。
私たちは農家ですから、素材そのもののおいしさを生かすことを大切にした、というのが一番伝えたいこだわりですね。
北海道の大地で育ったものを、食べながら感じてほしい
この商品は、原材料を北海道産にこだわって作っています。そのため、正直なところ価格は決して安くはありません。世の中には輸入原料を使い、手に取りやすい価格で使られたおかきも多く、それはそれでとてもおいしいと思います。でも、私たちがこだわったのは、自分たちの地域でできた素材で、地域を飛び越えて良いものを作ろうという気持ちを共に育てて、その気持ちを消費者の皆さんに伝えたいということです。
加工品になると産地の違いはわかりにくくなるかもしれませんが、それでも「オホーツクと十勝の農業者が手を取り合い、北海道の大地で育ったものでできている」ということを感じながら食べていただけたら嬉しいです。今、価格競争という点では、国産農産物が輸入品にかなう部分はなかなか少ないのが現実です。それでも選んでいただくためには、自分たちの考えを知っていただくことで、日本の農家を応援したいとか、幸せな気持ちになっていただけるとか、そういういうことが大切だと感じています。
この商品をきっかけに、北海道、日本でつくられたものに少し思いを馳せてみてもらえたら、それだけで十分だと思っています。青年部同士の交流から生まれた商品ですが、根本にあるのは「地域農業をより良くしていきたい」という気持ちです。食べてくださった方にそれが少しでも伝わって、作り手も消費者も一緒に元気になれる――そんな商品になってくれたら、これ以上のことはありません。
