EDUCATION.02

未来の農業へ繋ぐ食育活動
留辺蘂町の畑作農家
茂住 竜太さん
今や業種を問わず各地域・職業の多くに言えることだと思いますが、高齢化と人口減少は、私の住む場所においても同様の課題を抱えています。
私たちの住む留辺蘂町では、若手農家で構成される青年部が、15年以上も前から地域の幼稚園や小中学校で食育に関する出前授業を行なっています。10年前、北見市内の西側に位置する相内、留辺蘂、温根湯地区の青年部が合併し、JAきたみらい青年部西支部となりましたが、地域の食育活動は合併後も続けています。
もともとは町の子ども会が主催し町民を対象に行っていた食育活動ですが、当時すでに深刻化していた担い手不足の影響もありJAきたみらい青年部がその活動を引き継ぐ形となりました。
農家においても後継者不足が深刻であることから、生産者である農家自身が食育活動を行うことで、食材だけでなく農業そのものへの理解や知識が深まるだけでなく、農家やJA職員を含め、農業に携わる人材を一人でも増やすことに寄与できるのではないかと考えています。
もちろん普段当たり前のように食べている野菜を、誰が、どのようにして作っているのか、またその大変さを身をもって実感することで農作物をいただくことへのありがたみや感謝を小さい頃から身につけてほしいという思いもあります。
そんな農業の未来を思う仲間が集まり制作した映像や問題集といった教材も、食育活動の開始当初は映像の撮影からナレーションの吹き込みまで、そして問題集もすべて手作りで用意していました。現在使用している映像教材は、地元の映像制作業者と協力し、各作物に合わせた立派なものを使っていますが、問題集は今でも手作りです。


これらを使用した出前授業だけでなく、名産である白花豆の集荷工場見学や、実際に畑での植え付け体験を行うこともあります。
その際、広大な農地や収量の多さをイメージしてもらうとともに、植え付けの間隔を子どもたちに教える難しさを感じることもあります。ここが曖昧になると、農業の魅力や素晴らしさを十分に伝えられないかもしれません。そこで、子どもたちにとって身近な体育館やグラウンドを例にしたり、植え付けで株間を測る際には割り箸などを使って直感的に理解できるよう工夫することを心掛けています。
こうして参加してくれた子どもたちが関心を持ち、積極的に動いてくれる様子を見ると、とても嬉しい気持ちになります。また、一緒にいる先生や地域住民の方々にも楽しそうに参加していただき、交流の幅が広がっていることは、想定外ながら嬉しい出来事でした。
今では、農家を継承する形が家族だけに限らず、新規就農や第三者継承の形もある中で、ひとりでも多くの人が農業に関心を持ち、地元に帰ってきてくれることを心待ちにしています。
