CTAFTSMAN.16

農家を育てて増やし
地域と品質を守っていきたい

北見市端野町の畑作農家

箱木 祐亮さん

私が農家を継ぐことになったのは令和元年の24歳の時で、今年で5年目になります(令和5年現在)。主に玉ねぎ・大豆を生産していて、端野地区では小規模の作付けですが、少しずつ面積を増やしています。札幌で幼少期を過ごしていましたが、10歳で父が亡くなり、母の実家で暮らすことになりました。祖父母が苦労しながらも楽しそうに働く姿を見て育ち、社会人になってから進路を考えた時に楽しそうに農業に向き合う祖父母の姿を思い、継ぐことを考えるようになりました。

農家を始めた年、祖父から6年目は経営移譲すると言われて、今は5年目になります。農業の学校で学び、若いうちから経営に携わってきたものの、祖父が引退することを想像すると不安もありますが、今はまだ現役で、常にサポートしてくれています。
色々な教えを祖父から受ける中でスムーズに行かない時もあります。祖父には経験値があって、効率化や生産の手法を話す中で若い私と考え方の相違もしばしばあります。残り2年の引退まで、まずは豊富な経験から技術を身につける事は大切ですが、ただ真似をするのではなく、新たな技術も取り入れながら挑戦していきたいと思っています。また、日々進化していく効率化の技術を含めて学んでいかないと、大きな面積を管理する事は難しくなってしまいますが、効率だけを優先して品質を下げるようなことはしたくないとも考えています。

農家戸数が減少していく中で、今後さらに大規模化が進んでいきますが、その中でも生産量を維持しながら品質を維持していくためには、農家を育て増やしていくことが重要だと思います。私の畑でもいずれは農業をやりたいと言う人を雇い入れて育てていくことで、増えていく耕作地を任せて、独立を促して貸し出し、最終的には買い取ってもらうなど、農家を増やしていく事ができるのではと考えています。単純な第三者継承だけでなく、育てる継承についても考えることで、地域の農業を守っていくことに挑戦していきたいです。

また、端野地区では「サラダ玉ねぎ」という、生でもおいしく食べられるサラダに向いた品種の玉ねぎを生産するグループがあって、私はそのグループの役員をやっているのですが、この品種は端野地区でしか作っていないので収量も年々減少しています。水分量が多くてみずみずしい、美味しい玉ねぎですが、その分傷つきやすく、通常の玉ねぎでは機械が使える工程でも、傷がつきやすい作業には手作業が求められます。生産するのがとても大変な品種ですが、玉ねぎが苦手な人にも美味しいと言われたことがあって、それがとても嬉しく、もっと作付け面積を増やしていきたいと考えています。