CTAFTSMAN.13
父から受け継いだ農業、
YouTubeやSNSも活用して
訓子府町北栄の畑作農家
斉藤 要さん
就農して2年、現在19歳になります。高校卒業後、すぐに就農し、現在は小麦や馬鈴薯を育てています。小さいころから実家の家業である農業に親しみがあり、父が運転するトラクターなどの乗り物を見るのが大好きでした。特に一番好きだったのは麦刈りのコンバインです。麦刈りの時期になると、カメラを持って父の麦刈りをする様子を見に行きました。就農のきっかけとなったのは、高校2年生の冬にコロナウィルス感染の拡大が始まったとき、家にいる時間が多くなり、実家の仕事を手伝うようになったことです。自分が継がなければ継ぐ人がおらず、この畑を潰したくないという思いが強くなりました。また、若いうちから実経験を積むことで、自身のスキルアップに繋がるのではないかと思い、高校卒業後すぐに就農することを決めました。
本格的に農業を始めてからは、自分が知っていたことが氷山の一角であることを痛感するとともに、長年農家を営んできた父への尊敬が増しました。一方、せっかく18歳から始めるのであれば、いろいろなツールを使い、多くの人に自分のやっていることに触れてほしいと思い、YouTubeで動画を投稿するようになりました。撮影から編集まで、すべて自分の手で行っています。訓子府や北見では日常に農業がありふれています。道端に畑があり、そこでトラクターが動いているのが私たちの当たり前の風景です。しかし、実際は馬鈴しょ一つとってみてもどのように成長していくのかを知らなかったり、農業に対して汚れ仕事だとか、重労働だとかというイメージを持っていたりする人も少なくありません。一から馬鈴しょを育てる過程や、スマート農業についてなど、リアルな農業の様子を映像とともに伝えたいと思っています。
ゆくゆくは6次産業へ一本化して商品をつくることも目指しています。小麦や馬鈴しょを使ってピザやコロッケを出し、地元の人・SNSを見て来てくれる人など、まずはローカルな規模からでも届けられるようなこともしてみたいです。例えば規格外品になった馬鈴しょは、でんぷんにすると非常に安価なものになり、汎用性少なく非常にもったいないと感じます。そういった作物の新たな付加価値を探求し、商品開発ができれば、消費者にも生産者にもメリットになると思います。そういったところにも興味を持ち続け、挑戦してみたいと思います。
作物を育てるだけでなく、それを商品化し、YouTubeやSNSなどで情報を発信し、より多くの人へ知ってもらう。こうして父の築き上げたものを受け継ぎつつも、それをさらに超えていけるようになりたいです。
私は訓子府で生まれ、地域の魅力を感じながら育ってきました。大きくなるにつれ、周りからは都会へ出ないのかとも言われましたが、自分が生まれ育ってきたこの街で、自然に囲まれていることが大好きなので、ここに残ることを決めました。この地域は人のつながりも魅力的で、特に農家同士の絆は深いと思います。人が集まれば意見交流が始まりますし、ほかの人の家に行って様子をみてあげたり、人手が足りなければ手伝う事もしばしばあります。しかし現在は離農する人も多く、その分の畑を請け負うということも多々あります。10年後にもなれば、今以上に大規模な畑を持つことが当たり前になると考えています。今は一家で経営している畑ですが、将来的には法人化し、地域の仲間とより大規模な経営を行いたいと考えています。これからも訓子府の魅力を感じながら、より一層地域へ貢献したいです。