CTAFTSMAN.08

目で見て感じる牛の健康、
安心と安定の生産を。

北見市留辺蘂町の畜産、畑作農家

藤田 稔彦さん

現在、親牛約90頭、子牛約60頭の規模で繁殖を主に、牧草と小麦やビートの畑作を営んでいます。現在4代目で、曽祖父の代では稲作、祖父の代では乳牛の肥育、父の代では和牛の繁殖へと時代とともに経営内容も変わってきましたが、現在は両親も含め、家族で繁殖生産に取り組んでいます。和牛の繁殖は、人間で言うと妊娠、出産、乳幼児の成育と、生き物の成長過程で最も繊細な期間を請け負う仕事でもあります。また、和牛は乳牛に比べて出産や育成のリスクが高く大変な仕事ですが、父の代からの新たな経営の面白みを私自身も感じており、より良い子牛を受け取ってもらえるよう、育て方や血統など、日々研究を重ねています。出荷された子牛は、全国各地の肥育農家さんに渡り、立派な和牛として育てられていきます。

和牛の繁殖生産は非常に繊細で、些細な環境の変化で子牛が流産してしまうことや、生まれたばかりの子牛が寒さや風邪で死んでしまうこともあります。繊細な牛の健康状態を把握し、病気の予防や健康状態の察知に心がけ、元気な状態で成長してもらえるよう最大限の気配りをする必要があります。牛舎に入る時には牛の表情をしっかり診て、できる限り早い段階で異常を検知できるよう眼差しや耳の張りなども直接確認しています。
また、子牛の健康管理は死んでしまうリスクだけでなく、部位ごとの育ち具合にも影響します。子牛の健康状態や育ち具合が、その後の肥育農家における育て方にも影響することもあり、極めて重要な仕事です。そのため一頭一頭、子育てと同じように大切に目をかけ、手をかけて育てています。

酪農、畜産は生き物と向き合う仕事で、24時間気を抜けない仕事でもあります。夜中に分娩する場合や、冬季の極めて寒い時期における出産と、時期に関係はありません。牛の様子からある程度分娩の時期を予測することはできますが、正確に予測するのは非常に難しく、カメラなども用いて常に注意を払う必要があります。実際に出産が始まると家族総出で対応し、多い時では1日に3頭の出産がありました。
幼少期は家族全員で旅行することは極めて稀でしたが、今は両親との連携や同じ地域の酪農ヘルパーとの連携で、柔軟に対応ができるようになっています。また、牧草の刈り取りなどは地域の乳牛生産者の方々と連携し、私たちだけではできない効率的な牧草生産ができるようになっています。私も乳牛生産者さんが大変な時は駆けつけ、できる限りのサポートができるよう心がけています。家族だけでなく、地域全体に支え合いながら安定的に安全に生産ができるよう、地域の人の繋がりを大事にしていきます。